FP2級【きんざい:中小事業主資産】2021年9月【問7】

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本記事の内容
『2021年9月実施』FP2級実技試験【中小事業主資産相談業務】の過去問の解説です。
【きんざい】

Q.7

先に下記の資料をご覧ください。(Q7.8.9で使います)

2021年9月実施FP2級実技試験【きんざい】中小事業主資産相談業務問7の資料

X社の当期の法人税における所得の金額の計算に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。なお、本問において、法人税申告書別表四とは、当期利益の額を基として、加算・減算による申告調整を行うことによって所得金額を計算する表(所得の金額の計算に関する明細書)である。また、所得金額の計算上、選択すべき複数の方法がある場合は、所得金額が最も少なくなる方法を選択すること。

  1. X社が支出した交際費等の金額1,330万円のうち、税法上の接待飲食費の50%を超える部分の金額730万円を、法人税申告書別表四において加算する。
  2. X社がAさんに売却した土地について、時価と実際に受け取った対価との差額分400万円を、法人税申告書別表四において加算する。
  3. X社が取得した備品380万円について、当期における減価償却費は38万円である。

①→×

②→○

③→×

①の補足

  • X社が支出した交際費等の金額1,330万円のうち、税法上の接待飲食費の50%を超える部分の金額730万円を、法人税申告書別表四において加算する。

不適切です。

資本金1億円以下の中小企業は損金算入額を『交際費等の800万円以下全額』か『交際費等の中の接待飲食費の額の50%』かを選択できます。

交際費等の800万円以下全額→1,330-800万円=530万円

接待飲食費の額の50%→1,200万円×1/2+(1,330万円-1,200万円)=730万円

よってこの場合交際費等の800万円以下全般を損金にした方が所得税が少なくなるため、法人税申告書別表四に加算される金額は530万円になります。

michi
michi

50%損金にできる範囲はあくまで接待飲食費だけです。交際費全般が50%になるわけではないです。

交際費の損金算入限度額

資本金 損金算入限度額
1億円以下※どちらか選択 年間交際費のうち800万円以下全額
年間交際費のうち飲食支出額の50%
1億円超 年間交際費のうち飲食支出額の50%

②の補足

  • X社がAさんに売却した土地について、時価と実際に受け取った対価との差額分400万円を、法人税申告書別表四において加算する。

適切です。

低額譲渡にあたるため差額は益金の額に算入されます。

低額譲渡について

売主 個人 法人
買主 個人 法人 個人 法人
取引価格 時価の1/2以上 時価の1/2未満 時価の1/2以上 時価の1/2未満 時価未満
売主 課税関係 通常の譲渡所得の計算(ただし、時価1/2未満時は譲渡損はないとみなす) 通常の譲渡所得の計算 みなし譲渡 取引価格と時価の差額は、益金の額に算入。原則、寄付金に該当
買主 課税関係(取引可価格と時価の差額) みなし贈与 受贈益 一時所得又は給与等 受贈益
取得価額 取引価格 時価

低額譲渡の場合の課税関係(外部リンク)


③の補足

  • X社が取得した備品380万円について、当期における減価償却費は38万円である。

不適切です。

資料より「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出していないため、法人の備品の減価償却は原則通り定率法になります。

また設問より事業供用期間は6カ月と分かります。

よって当期の減価償却費は『380万円×0.4×6/12月=76万円』となります。

所得税と法人税での減価償却方法の違い

  所得税(個人事業主) 法人税(法人)
原則 選択可能か 原則 選択可能か
建物 定額法 × 定額法 ×
建物付属設備 定額法 × 定額法 ×
構築物 定額法 × 定額法 ×
機械装置 定額法 定率法 定率法 定額法
車両運搬具 定額法 定率法 定率法 定額法
工具・器具・備品 定額法 定率法 定率法 定額法
ソフトウェア 定額法 × 定額法 ×

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