FP2級の過去問題の解説【実技:生保顧客資産】きんざい2021年1月

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本記事の内容
『2021年1月実施』FP2級実技試験【生保顧客資産相談業務】の過去問の解説です。
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Q.1

先に下記の資料をご覧ください。(Q1.2.3で使います)

2021年1月実施FP2級実技試験【きんざい】生保顧客資産相談業務問1の資料

はじめに、Mさんは、Aさんに対して、Aさんが受給することができる公的年金制度からの老齢給付について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を解答用紙に記入しなさい。なお、年金額は2020年度価額に基づいて計算し、年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること。

「老齢厚生年金の支給開始年齢は原則として65歳ですが、経過的措置として、老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることなどの所定の要件を満たしている方は、65歳到達前に特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。1961年3月生まれのAさんは、原則として、( ① )歳か
ら報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。
Aさんが65歳に達すると、特別支給の老齢厚生年金の受給権は消滅し、新たに老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権が発生します。Aさんが65歳から受給することができる老齢基礎年金の額は( ② )円です。
また、65歳から受給することができる老齢厚生年金には、妻Bさんが65歳に達するまでの間、配偶者の加給年金額が加算されます。したがって、Aさんが65歳から受給することができる老齢厚生年金の額は( ③ )円となります」

2021年1月実施FP2級実技試験【きんざい】生保顧客資産相談業務問1の資料②

①→64(歳)

②→740,986(円)

③→1,290,430(円)

①の解説
  • 老齢厚生年金の支給開始年齢は原則として65歳ですが、経過的措置として、老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることなどの所定の要件を満たしている方は、65歳到達前に特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。1961年3月生まれのAさんは、原則として、( 64 )歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。

特別支給の老齢厚生年金受給開始年齢

報酬比例部分
男性
女性
  • 1953年4月1日まで 60歳
  • 1953年4月2日~1955年4月1日 61歳
  • 1955年4月2日~1957年4月1日 62歳
  • 1957年4月2日~1959年4月1日 63歳
  • 1959年4月2日~1961年4月1日 64歳
  • 1961年4月2日以降 もらえない
  • 1958年4月1日まで 60歳
  • 1958年4月2日~1960年4月1日 61歳
  • 1960年4月2日~1962年4月1日 62歳
  • 1962年4月2日~1964年4月1日 63歳
  • 1964年4月2日~1966年4月1日 64歳
  • 1966年4月2日以降 もらえない
michi
michi

全部覚えるのは大変なので、例えば『1961年4月2日以降はもらえない』というところだけ覚えて、2年ずつ戻していく。といったやり方がおすすめです。

女性は男性プラス5年で考えます。


②の解説
  • Aさんが65歳に達すると、特別支給の老齢厚生年金の受給権は消滅し、新たに老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権が発生します。Aさんが65歳から受給することができる老齢基礎年金の額は( 740,986 )円です。

資料よりAさんは国民年金の未加入期間が25月あるため、この分は老齢基礎年金に反映されません。

よって計算式は下記になります。

781,700円×455月/480月=740,986.458…≒740,986


③の解説
  • また、65歳から受給することができる老齢厚生年金には、妻Bさんが65歳に達するまでの間、配偶者の加給年金額が加算されます。したがって、Aさんが65歳から受給することができる老齢厚生年金の額は( 1,290,430 )円となります。

今回のポイントは下記です。

  1. 報酬比例部分の額の計算
  2. 経過的加算額の計算
  3. 老齢厚生年金額の計算

順に見ていきましょう。

【報酬比例部分の額の計算】

資料よりa,bに数値を当てはめて報酬比例部分の額を求めます。

a 250,000円×7.125/1,000×240月=427,500円
b 400,000円×5.481/1,000×215月=471,366円

よって報酬比例部分は『427,500円+471,366円=898,866円』となります。


【経過的加算額の計算】

こちらも資料より数値を当てはめて計算しましょう。

1,630円×455月-781,700円×455/480=663.54166…≒664円


【老齢厚生年金額の計算】

①、②と加給年金が支給されるので、すべて合計した金額が老齢厚生年金額となります。

898,866円+664円+390,900円=1,290,430円


経過的加算額とは

経過的加算額とは旧法から現行法に変わった際に老齢基礎年金額部分が減ってしまったため、その差額を埋めるために作られた仕組みです。

つまり下記の計算式が成り立ちます。

定額部分(旧法における厚生年金の老齢基礎年金部分のこと)=現行法における老齢基礎年金部分+経過的加算額

経過的加算額のポイントは下記です。

  1. 生年月日に応じて被保険者期間の月数に上限がある
  2. 20歳未満、60歳以上の老齢厚生年金の被保険者期間が有効
  3. 経過的加算額は老齢基礎年金に上乗せされるのではなく、老齢厚生年金に上乗せされる
生年月日 上限月数
昭和9年4月2日~昭和19年4月1日生まれ 444月
昭和19年4月2日~昭和20年4月1日生まれ 456月
昭和20年4月2日~昭和21年4月1日生まれ 468月
昭和21年4月2日以降生まれ 480月
michi
michi

FP2級試験ではほぼ480月の場合が多いです。

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FP2級試験(実技)生保顧客資産相談業務2021年1月 きんざい主催

※本記事の問題の権利はすべて一般社団法人 金融財政事情研究会(きんざい)に帰属されており、許可を取ってWEB上に載せております。

 

許諾番号: 2101K000001