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- 本記事の内容
- 『2021年5月実施』FP3級実技試験【個人資産相談業務】の過去問の解説です。
【きんざい】
Q.12
先に下記の資料をご覧ください。(Q10.11.12で使います)
甲土地の有効活用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 「等価交換方式により、マンションを建築する手法が考えられます。Aさんとしては、自己資金を使わず、マンション住戸を取得することができます」
- 「事業用定期借地権方式により、甲土地を一定期間賃貸する手法が考えられます。甲土地を手放さず、安定した地代収入を得ることができます」
- 「建設協力金方式により、甲土地上に建築した店舗をテナントに貸し出す手法が考えられます。契約期間満了後、借主であるテナントが建物を撤去し、甲土地は更地で返還されます」
3が不適切
- 「等価交換方式により、マンションを建築する手法が考えられます。Aさんとしては、自己資金を使わず、マンション住戸を取得することができます」
適切です。
等価交換方式はAさん所有の土地を全部、もしくは一部を売却し、その代わりにマンションを取得する方法なので、新たに自己資金を使うことはありません。
デベロッパーに土地を一旦すべて譲渡し、建物完成後に土地価格に見合う分の建物の区分所有権とその敷地利用権を得る方式です。
建築前 | 建築後 | |
土地 | 地主→デベロッパー | デベロッパー→一部地主 |
建物 | デベロッパー | デベロッパー→一部地主 |
michi
土地所有権を先渡ししてしまうので、建物完成までは権利が無くなってしまいます。
また不動産を新たに取得する扱いになってしまうので、不動産取得税や登録免許税がかかってしまいます。
建物完成後、その土地の一部の所有権をデベロッパーに、その建物の一部の区分所有権を地主に譲渡します。
建築前 | 建築後 | |
土地 | 地主 | 地主→一部デベロッパー |
建物 | デベロッパー | デベロッパー→一部地主 |
michi
通常は部分譲渡方式が採用されます。ただし土地と建物の価値のすり合わせ等で時間がかかるのがデメリットです。
- 「事業用定期借地権方式により、甲土地を一定期間賃貸する手法が考えられます。甲土地を手放さず、安定した地代収入を得ることができます」
適切です。
事業用定期借地権方式では土地所有者の権利は変わらないので、手放す必要はありません。
また、契約終了後は更地で返還されます。
一般定期借地権 | 事業用定期借地権 | 建物譲渡特約付借地権 | |
建物の利用目的 | 制限なし | 事業用のみ | 制限なし |
契約の存続期間 | 50年以上 | 10年以上50年未満 | 30年以上 |
契約方法 | 書面 | 公正証書 | 制限なし |
借地関係の終了 | 期間の満了 | 期間の満了 | 建物の譲渡 |
満了時の返還形態 | 更地で返還 | 更地で返還 | 地主が借地人から建物を買取る |
- 「建設協力金方式により、甲土地上に建築した店舗をテナントに貸し出す手法が考えられます。契約期間満了後、借主であるテナントが建物を撤去し、甲土地は更地で返還されます」
不適切です。
建設協力金方式により建てた建物の所有権はAさんなので、契約期間満了後に更地で返還する義務はありません。
貸主(土地オーナー)が借主(テナント企業等)から協力金を借り、建物の建築費用にあてます。
借りたお金は月々のテナント料と相殺していくかたちが一般的です。
相続税評価 | |
土地 | 貸家建付地 |
建物 | 貸家 |