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- 本記事の内容
- 『2021年5月実施』FP3級実技試験【個人資産相談業務】の過去問の解説です。
【きんざい】
Q.7
先に下記の資料をご覧ください。(Q7.8.9で使います)
Aさんの2020年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。
- 705万円
- 740万円
- 840万円
1が適切
705万円が適切です。
今回のポイントは下記です。
- 給与収入による所得
- 老齢基礎年金による所得
- 不動産所得
順に見ていきましょう。
- 給与収入による所得
給与輸入による所得の区分は給与所得です。
給与所得の計算式は下記です。
給与収入-給与所得控除
よって資料より給与所得は下記になります。
1,000万円-195万円=805万円
- 老齢基礎年金による所得
老齢基礎年金による所得の区分は雑所得です。
雑所得は下記2つに分けられます。
- 公的年金等
- 公的年金等以外
老齢基礎年金は公的年金等にあたるので、所得の計算式は下記になります。
年金収入-公的年金等控除額
公的年金等控除額は下記で求められます。
公的年金等の収入金額の合計 | 割合 | 控除額 | |
65歳未満 | 600,000円まで | 所得ゼロ円扱い | |
600,001円から1,299,999円まで | 100% | 600,000円 | |
1,300,000円から4,099,999円まで | 75% | 275,000円 | |
4,100,000円から7,699,999円まで | 85% | 685,000円 | |
7,700,000円から9,999,999円まで | 95% | 1,455,000円 | |
10,000,000円以上 | 100% | 1,955,000円 | |
65歳以上 | 1,100,000円まで | 所得ゼロ円扱い | |
1,100,000円から3,299,999円まで | 100% | 1,100,000円 | |
3,300,000円から4,099,999円まで | 75% | 275,000円 | |
4,100,000円から7,699,999円まで | 85% | 685,000円 | |
7,700,000円から9,999,999円まで | 95% | 1,455,000円 | |
10,000,000円以上 | 100% | 1,955,000円 |
※公的年金等に係る雑所得の金額=【公的年金等の収入の合計】×【割合】-【控除額】
全部覚える必要はないですが、600,000円と1,100,000円は覚えておきましょう。
今回Aさんは公的年金等に係る雑所得以外の所得が事実上1,000万円以下のため、公的年金等控除額は60万円です。
よって35万円の老齢基礎年金はすべて控除され、所得ゼロ扱いとなります。
余談ですが在職による老齢年金の停止は厚生年金に対してのみなので、老齢基礎年金は満額支給されます。
- 不動産所得
Aさんの不動産所得は100万円の損失です。
不動産所得にかかわる損失は他所得との通算が可能です。(例外あり)
また損益通算には下記の順番があります。
第1次通算① | 利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、雑所得を合算(不動産、事業所得の損失は他所得との損益通算可能) |
第1次通算② | 譲渡所得と一時所得を合算(譲渡所得の損失は一時所得と損益通算可能) |
第2次通算 | 第1次通算の①、②を合算 |
第3次通算 | 第2次通算した所得と山林所得を合算 |
第4次通算 | 第3次通算した所得と退職所得を合算 |
今回はすべて第1次通算の所得なので、そのまま合算します。
よって『805万円+0-100万円=705万円』が適切です。
不動産所得 | 土地の借入金の利子 |
別荘等娯楽、保養目的で所有する不動産の貸し出しによる損失 | |
譲渡所得 | 土地・建物の譲渡による損失 |
株式等の譲渡による損失※ | |
生活に不必要な資産の譲渡による損失 |
※上場株式等の譲渡損失は、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得と損益通算可能です。