FP2級【きんざい:個人資産】2021年9月【問15】

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本記事の内容
『2021年9月実施』FP2級実技試験【個人資産相談業務】の過去問の解説です。
【きんざい】

Q.15

先に下記の資料をご覧ください。(Q13.14.15で使います)

2021年9月実施FP2級実技試験個人相談業務問15の資料

Aさんの相続等に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。

  1. 「遺言により自宅および賃貸アパートを長男Bさんに相続させた場合、二男Cさんの遺留分を侵害する可能性があります。仮に、遺留分を算定するための財産の価額を2億円とした場合、二男Cさんの遺留分の額は( ① )万円となります」
  2. 「長男Bさんが自宅の敷地および建物を相続により取得し、自宅の敷地(相続税評価額:6,000万円)のすべてについて『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき価額を( ② )万円とすることができます」
  3. 「長男Bさんが賃貸アパートの敷地および建物を相続により取得し、賃貸アパートの敷地(相続税評価額:5,000万円)のすべてについて『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき価額を( ③ )万円とすることができます」
  4. 「自宅の敷地と賃貸アパートの敷地について『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けようとする場合、適用対象面積は調整されます。Aさんの相続においては、( ④ )の敷地を優先して『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けたほうが相続税評価額の軽減幅は大きくなります」
2021年9月実施FP2級実技試験個人相談業務問15の資料②

①→チ

②→ロ

③→ホ

④→リ

①の補足

  • 「遺言により自宅および賃貸アパートを長男Bさんに相続させた場合、二男Cさんの遺留分を侵害する可能性があります。仮に、遺留分を算定するための財産の価額を2億円とした場合、二男Cさんの遺留分の額は( 5,000 )万円となります」

遺留分の割合は下記です。

遺留分の計算方法

対象者 遺留分
相続人が直系尊属のみ 法定相続分の1/3
その他 法定相続分の1/2

今回はその他に当たるので法定相続分の2分の1になります。

よって遺留分を算定するための財産の価額が2億円なので、二男Cさんの遺留分は下記になります。

  法定相続分 遺留分
長男Bさん 1億円 5,000万円
二男Cさん 1億円 5,000万円

②の補足

  • 「長男Bさんが自宅の敷地および建物を相続により取得し、自宅の敷地(相続税評価額:6,000万円)のすべてについて『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき価額を( 1,200 )万円とすることができます」

本特例の概要は下記です。

小規模宅地等の評価減の限度面積と減額割合

  限度面積 減額割合
特定事業用宅地等 400㎡ 80%
貸付事業用宅地等 200㎡ 50%
特定居住用宅地等 330㎡ 80%

自宅の敷地は特定居住用宅地等にあたるため、250㎡すべて減額対象です。

よって適用を受けた場合の価額は下記になります。

6,000万円×(1-0.8)=1,200万円


③の補足

  • 「長男Bさんが賃貸アパートの敷地および建物を相続により取得し、賃貸アパートの敷地(相続税評価額:5,000万円)のすべてについて『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき価額を( 3,000 )万円とすることができます」

本特例において賃貸アパートは貸付事業用宅地等に該当します。

貸付事業用宅地等の減額対象は200㎡までなので下記で答えを求めます。

もともとの相続税評価額-200㎡における減額分

数字を当てはめます。

5,000万円-(5,000万円×200㎡/250㎡×50%)=3,000万円

michi
michi

カッコの中がよく分からない場合は、1㎡あたりの相続税評価額(5,000万円÷250㎡=20万円)を求めた上で、×200㎡×50%と考えると分かりやすいです。


④の補足

  • 「自宅の敷地と賃貸アパートの敷地について『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けようとする場合、適用対象面積は調整されます。Aさんの相続においては、( 自宅 )の敷地を優先して『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けたほうが相続税評価額の軽減幅は大きくなります」

本設問の場合、『㎡単価×減額割合×減額対象面積』で減額される金額が分かります。

  ㎡単価 減額割合 減額対象面積
自宅敷地 6,000万円÷250㎡=24万円 80% 250㎡
賃貸アパートの敷地 5,000万円÷250㎡=20万円 50% 200㎡
michi
michi

賃貸アパートの敷地は貸付事業用宅地等のに該当するので、200㎡までしか減額出来ないところがポイントです。

上記を計算すると下記になります。

自宅用敷地→24万円×0.8×250㎡=4,800万円

賃貸アパートの敷地→20万円×0.5×200㎡=2,000万円

よって自宅用敷地を優先したほうが減額幅が大きいことが分かります。

最後まで計算する場合

前提として貸付事業用宅地等を含んだ複数の土地を相続した場合は下記の計算式を利用します。

A×200/330+B×200/400+C≦200㎡

A→特定居住用宅地等(MAX330㎡)

B→特定事業用宅地等(MAX400㎡)

C→貸付事業用宅地等(MAX200㎡)

※今回はBは無いので使いません。

自宅の敷地(特定居住用宅地等)を優先した場合

Aに対して250㎡を当てはめます。

250㎡×200/330+C≦200㎡

上記を計算するとCは約48㎡となります。

それぞれの減額金額は下記です。

6,000万円×0.8=4,800万円(敷地全て減額対象)

5,000万円×48㎡/250㎡×0.5=480万円(48㎡分減額対象)

まとめます。

  適用面積 減額された金額
自宅の敷地 250㎡ 4,800万円
賃貸アパートの敷地 48㎡ 480万円

よって特定居住用宅地等を優先した場合の減額される金額は(約)5,280万円となります。

賃貸アパートの敷地(貸付事業用宅地等)を優先した場合

Cに対して200㎡を当てはめます。

A×200/330+200㎡≦200㎡

上記を計算するとAは0です。

この場合減額されるのはCである貸付事業用宅地等のみでして、減額金額は2,000万円のみになってしまいます。

よって自宅の敷地(特定居住用宅地等)を優先した方が軽減幅が大きいことが分かります。

解説は以上で終了です。お疲れ様でした。

解説終了

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