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- 本記事の内容
- 『2020年1月実施』FP3級実技試験【個人資産相談業務】の過去問の解説です。
【きんざい】
Q.15
先に下記の資料をご覧ください。(Q13.14.15で使います)
Aさんに対するアドバイスとして、次のうち最も適切なものはどれか。
- 「遺言により、相続財産の大半を妻Bさんおよび長女Cさんが相続した場合、二女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産を3億円とした場合、二女Dさんの遺留分の金額は7,500万円となります」
- 「契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を長女Cさんとする一時払終身保険に加入することにより、二女Dさんに対する代償交付金を準備することができます」
- 「自宅の敷地と賃貸アパートの敷地について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けようとする場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの宅地等の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます」
2が適切
- 「遺言により、相続財産の大半を妻Bさんおよび長女Cさんが相続した場合、二女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産を3億円とした場合、二女Dさんの遺留分の金額は7,500万円となります」
不適切です。
遺留分の計算方法は下記です。
対象者 | 遺留分 |
相続人が直系尊属のみ | 法定相続分の1/3 |
その他 | 法定相続分の1/2 |
今回の相続は直系尊属のみではないので、遺留分は法定相続分の1/2です。
今回の法定相続分(遺留分算定の基礎となる財産)は3億円なので割合は下記になります。
相続割合 | 法定相続分 | |
妻Bさん | 2分の1 | 1億5,000万円 |
長女Cさん | 4分の1 | 7,500万円 |
二女Dさん | 4分の1 | 7,500万円 |
よって二女Dさんの遺留分はさらに1/2の『7,500×1/2=3,750万円』となります。
- 「契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を長女Cさんとする一時払終身保険に加入することにより、二女Dさんに対する代償交付金を準備することができます」
適切です。
相続財産の中には不動産や株式など相続人の間で分割しづらいものもあります。本設問を例にすれば現金以外は分割しづらい、もしくはすでに相続人を決めているので、相続財産に偏りがでてしまい揉める原因になることもあります。このような時に代償交付金を使います。
具体的には長女Cさんに現金以外の財産を相続させた上で、長女Cさんから次女Dさんに代償金を払う形になりますが、その時に長女Cさんは現金を持っていないことがあります。その現金を作るために被相続人(Aさん)が生命保険に加入し、死亡保険金の受取人を長女Cさんにして、二女Dさんに対する代償金の原資にする仕組みです。
これにより長女Cさんに自宅や賃貸アパートを相続させつつ、次女Dさんの相続にも偏りがないようにできます。
- 「自宅の敷地と賃貸アパートの敷地について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けようとする場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの宅地等の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます」
不適切です。
今回の相続の場合自宅は『特定居住用宅地等』、賃貸アパートは『貸付事業用宅地等』に該当します。
さらに貸付事業用宅地を含んだ複数の土地で適用を受けた場合、下記の計算式で減額面積を決める法律があります。
A×200/330+B×200/400+C≦200㎡
A→特定居住用宅地等(MAX330㎡)
B→特定事業用宅地等(MAX400㎡)
C→貸付事業用宅地等(MAX200㎡)
FP3級では計算問題は出題されないので詳しくは割愛しますが、この式により両方適用を受けようとすると必ず調整を受けてしまいます。
ちなみに本設問の場合は、特定居住用宅地等(自宅の敷地)のみを330㎡減額するパターンがもっとも相続税が安くなります。
限度面積 | 減額割合 | |
特定事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50% |
特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% |
本記事は以上で終わりです。
お疲れさまでした。