FP2級【学科】2022年1月【問29】

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本記事の内容
『2022年1月実施』FP2級学科試験の過去問の解説です。
【共通】

Q.29

一般NISA(非課税上場株式等管理契約に係る少額投資非課税制度)およびつみたてNISA(非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、一般NISAにより投資収益が非課税となる勘定を一般NISA勘定といい、つみたてNISAにより投資収益が非課税となる勘定をつみたてNISA勘定という。

  1. つみたてNISA勘定に受け入れることができる金融商品は、所定の要件を満たす公募株式投資信託やETF(上場投資信託)であり、長期の積立・分散投資に適した一定の商品性を有するものに限られている。
  2. つみたてNISA勘定に受け入れている金融商品を売却することで生じた譲渡損失は、確定申告を行うことにより、同一年中に特定口座や一般口座で保有する金融商品を売却することで生じた譲渡益と通算することができる。
  3. 一般NISA勘定に受け入れている金融商品の時価が、非課税期間が終了する2022年末時点で120万円を超えていた場合、そのすべてを2023年分の一般NISA勘定に移すことはできない。
  4. 2024年に新規口座を開設する場合、現行の一般NISAを利用することができず、年間の非課税投資枠が20万円である1階部分と、年間の非課税投資枠が100万円である2階部分からなる新制度を利用することになる。

1が適切

1の解説

  • つみたてNISA勘定に受け入れることができる金融商品は、所定の要件を満たす公募株式投資信託やETF(上場投資信託)であり、長期の積立・分散投資に適した一定の商品性を有するものに限られている。

適切です。

NISAとは

  一般NISA つみたてNISA ジュニアNISA
対象者 国内在住の20歳以上の人 国内在住の0歳~19歳
対象商品

上場株式

株式投資信託

ETF

REIT

低リスクで安定性が高い、公募株式投資信託

 

ETF

上場株式

株式投資信託

ETF

REIT

金融機関の変更 不可
非課税投資枠 年間120万円 年間40万円 年間80万円
非課税期間 最長5年間 最長20年間 最長5年間
非課税枠の繰越 不可
払い出し制限 なし 原則3月31日時点で18歳である年の前年12月31日まで払出しができない

2の解説

  • つみたてNISA勘定に受け入れている金融商品を売却することで生じた譲渡損失は、確定申告を行うことにより、同一年中に特定口座や一般口座で保有する金融商品を売却することで生じた譲渡益と通算することができる。

不適切です。

つみたてNISAの取引で発生した譲渡損失は損益通算できません。


3の解説

  • 一般NISA勘定に受け入れている金融商品の時価が、非課税期間が終了する2022年末時点で120万円を超えていた場合、そのすべてを2023年分の一般NISA勘定に移すことはできない。

不適切です。

ロールオーバーすることで120万円超であっても全額移せます。

michi
michi

ただし120万円を超過した場合は翌年度の非課税投資枠がゼロになります。

120万円以内であれば、差し引き分が翌年に使える非課税投資枠です。

例えば90万円ロールオーバーしたら、120万円-90万円=30万円が翌年の非課税投資枠になります。

ロールオーバーとは

5年間の非課税期間が終わった後に、翌年の非課税投資枠に移すこと。再度5年間非課税になるので実質10年間非課税になります。


4の解説

  • 2024年に新規口座を開設する場合、現行の一般NISAを利用することができず、年間の非課税投資枠が20万円である1階部分と、年間の非課税投資枠が100万円である2階部分からなる新制度を利用することになる。

不適切です。

新NISAの1階部分は20万円ですが、2階部分は年間102万円です。

新NISAのポイント

  • ジュニアNISAは終了
  • 旧NISA→新NISAのロールオーバーが可能
  • 1階部分(年20万円まで)、2階部分(年102万円まで)に非課税投資枠が分かれる
  • 1階部分はつみたてNISAと同じ商品、2階部分は一般NISAとほぼ同じ商品(高レバレッジ投資信託等は除外されました)
  • 新NISAを新規口座開設する人は、1階部分に投資しなければ2階部分に投資できない(限度枠20万円いっぱいにする必要はありません。例えば1万円のみでも問題ありません)
  • 旧NISA口座がある人は2階部分のみの投資が可能
  • 1階部分は5年間の非課税期間終了後につみたてNISAへのロールオーバーが可能(ロールオーバー後は2階部分との併用はできないので、2階部分については課税口座に移さなければなりません)

令和5年度税制改正の大綱等において、2024年以降のNISA制度の抜本的拡充・恒久化の方針が示されました。

実際には下記のように改正されます。この問題の知識は使えなくなるので注意してください。

2023年までのNISA

一般NISAつみたてNISAジュニアNISA(20歳未満)
非課税期間5年間20年間5年間
※ただし、2023年末以降に非課税期間が終了するものについては、20歳まで非課税で保有を継続可能
年間非課税枠120万円40万円80万円
投資可能商品上場株式・ETF・公募株式投信・REITなど長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託一般NISAと同じ
買付方法通常の買付け積立投資(累積投資契約に基づく買付け)のみ一般NISAと同じ
払出し制限なしなしあり(18歳までは払い出せない)
※災害等やむを得ない場合には、非課税での払出し可能。
2023年までのNISA比較表

注意

現行のNISA制度は2023年に終了し、2024年からは新NISAに移行します。

現NISAから新NISAへはロールオーバー(移管)できませんが、現行制度の非課税措置期間は引き続き適用されるため、2024年以降そのまま保有していても、最大5年(一般NISA、ジュニアNISA)および最大20年(つみたてNISA)は課税されません。

2024年以降のNISA

つみたて投資枠成長投資枠
非課税期間無期限無期限
口座開設期間恒久化恒久化
年間投資枠120万円240万円
非課税保有限度枠1,800万円(成長投資枠と合わせて)1,200万円(内数)
※例1 つみたて投資枠600万円+成長投資枠1,200万円=計1,800万円
※例2 つみたて投資枠1,000万円+成長投資枠800万円=計1,800万円
投資可能商品積立・分散投資に適した一定の投資信託
※現行のつみたてNISAと同じ
上場株式・投資信託等
※整理、管理銘柄、信託期間20年未満、高レバレッジ型および毎月分配型の投資信託等を除外
対象年齢18歳以上18歳以上
2024年からのNISA比較表

※ジュニアNISAは廃止されました。

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