FP2級【学科】2022年1月【問37】

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本記事の内容
『2022年1月実施』FP2級学科試験の過去問の解説です。
【共通】

Q.37

法人税の損金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 役員退職給与を損金の額に算入するためには、所定の時期に確定額を支給する旨の定めの内容に関する届出書をあらかじめ税務署長に提出しなければならない。
  2. 2016年4月1日以後に取得した建物附属設備の減価償却方法は、定額法である。
  3. 参加者1人当たり5,000円以下の得意先との接待飲食費は、必要とされる書類を保存していれば、税法上の交際費等に該当せず、その全額を損金の額に算入することができる。
  4. 損金の額に算入される租税公課のうち、事業税については、原則として、その事業税に係る納税申告書を提出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。

1が不適切

1の解説

  • 役員退職給与を損金の額に算入するためには、所定の時期に確定額を支給する旨の定めの内容に関する届出書をあらかじめ税務署長に提出しなければならない。

不適切です。

役員退職給与にそのような規定はありません。

届出書をあらかじめ提出しなければならないのは事前確定届出給与です。

損金算入できる役員給与

役員給与の種類 内容
定期同額給与 支給時期が1ヶ月以下の一定期間ごとである給与で、その事業年度において支給額が同額であるもの
事前確定届出給与 所定の時期に確定額を支給することを記載した届け出書をあらかじめ所轄の税務署長に提出し、その届出書通りに支給する給与
利益連動給与 同族会社以外の法人が、業務執行役員に対して業績に連動して支給する給与
役員退職給与 退職時に支給される給与
michi
michi

役員退職給与については不相当に高額である、事実を隠蔽しているなど明らかにおかしい場合は損金算入されません。


2の解説

  • 2016年4月1日以後に取得した建物附属設備の減価償却方法は、定額法である。

適切です。

所得税と法人税での減価償却方法の違い

  所得税(個人事業主) 法人税(法人)
原則 選択可能か 原則 選択可能か
建物 定額法 × 定額法 ×
建物付属設備 定額法 × 定額法 ×
構築物 定額法 × 定額法 ×
機械装置 定額法 定率法 定率法 定額法
車両運搬具 定額法 定率法 定率法 定額法
工具・器具・備品 定額法 定率法 定率法 定額法
ソフトウェア 定額法 × 定額法 ×
michi
michi

法人、個人事業主ともに定額法のみです。


3の解説

  • 参加者1人当たり5,000円以下の得意先との接待飲食費は、必要とされる書類を保存していれば、税法上の交際費等に該当せず、その全額を損金の額に算入することができる。

適切です。

交際費に該当しないもの

  • 贈与用としてカレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類するものの費用
  • 5,000円以下で所定の手続きをした飲食費
  • 従業員のために行われる慰安旅行、運動会、演芸会の費用
  • 会議に際しての茶菓や弁当代
  • 新聞、雑誌等の出版物や放送番組を編集、取材するために使われる通常の費用

細かい部分はNo.5265交際費等の範囲と損金不算入額の計算(国税庁)をご覧ください。


4の解説

  • 損金の額に算入される租税公課のうち、事業税については、原則として、その事業税に係る納税申告書を提出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。

適切です。

損金算入できる租税公課

  • 固定資産税
  • 利子税
  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 事業税
  • 都市計画税
  • 酒税
  • ゴルフ場利用税など

損金算入できない租税公課

  • 法人税
  • 法人地方税
  • 法人住民税
  • 過少申告加算税、無申告加算税
  • 延滞税
  • 復興特別所得税など

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