FP2級【学科】2021年5月【問60】

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本記事の内容
『2021年5月実施』FP2級学科試験の過去問の解説です。
【共通】

Q.60

民法および法務局における遺言書の保管等に関する法律に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 被相続人の配偶者が配偶者居住権を取得するためには、あらかじめ被相続人が遺言で配偶者居住権を配偶者に対する遺贈の目的としておく必要があり、配偶者が、相続開始後の共同相続人による遺産分割協議で配偶者居住権を取得することはできない。
  2. 各共同相続人は、遺産の分割前において、遺産に属する預貯金債権のうち、相続開始時の債権額の3分の1に法定相続分を乗じた額(1金融機関当たり150万円を上限)の払戻しを受ける権利を単独で行使することができる。
  3. 遺言者が自筆証書遺言を作成する場合において、自筆証書遺言に財産目録を添付するときは、その目録も自書しなければ無効となる。
  4. 遺言者が自筆証書遺言を作成して自筆証書遺言書保管制度を利用した場合、その相続人は、相続開始後、遅滞なく家庭裁判所にその検認を請求しなければならない。

2が適切

1の解説

  • 被相続人の配偶者が配偶者居住権を取得するためには、あらかじめ被相続人が遺言で配偶者居住権を配偶者に対する遺贈の目的としておく必要があり、配偶者が、相続開始後の共同相続人による遺産分割協議で配偶者居住権を取得することはできない。

不適切です。

遺産分割協議でも配偶者居住権は取得できます。

配偶者居住権の要件

  1. 残された配偶者が、亡くなった人の法律上の配偶者であること。
  2. 配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に、亡くなった時に居住していたこと。
  3. 遺産分割、遺贈、死因贈与、家庭裁判所の審判いずれかにより配偶者居住権を取得したこと。
michi
michi

相続財産である家の権利を『所有権』と『居住権』に分けることで、その家に住みつつ生活資金等も確保できるというイメージです(仮に配偶者が家しか相続出来ないと生活資金等で困ってしまうため)


2の解説

  • 各共同相続人は、遺産の分割前において、遺産に属する預貯金債権のうち、相続開始時の債権額の3分の1に法定相続分を乗じた額(1金融機関当たり150万円を上限)の払戻しを受ける権利を単独で行使することができる。

適切です。

各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

民法第909条の2

民法第九百九条の二に規定する法務省令で定める額は、百五十万円とする。

民法第九百九条の二に規定する法務省令で定める額を定める省令

3の解説

  • 遺言者が自筆証書遺言を作成する場合において、自筆証書遺言に財産目録を添付するときは、その目録も自書しなければ無効となる。

不適切です。

財産目録については署名、押印があればパソコンでも作成可能です。

遺言書の種類

種類 作成方法 証人 家庭裁判所の検認
自筆証書遺言
  1. すべて自書

財産目録はパソコン可※署名押印必要

不要 必要
自筆証書遺言保管制度 不要 不要
公正証書遺言
  1. 本人が口述、公証人が筆記
2人以上 不要
秘密証書遺言
  1. 本人が作成(パソコン可)
  2. 署名・捺印後封印
  3. 公証役場で手続き
2人以上 必要

4の解説

  • 遺言者が自筆証書遺言を作成して自筆証書遺言書保管制度を利用した場合、その相続人は、相続開始後、遅滞なく家庭裁判所にその検認を請求しなければならない。

不適切です。

自筆証書遺言書保管制度を利用した場合、家庭裁判所による検認は不要です。

遺言とは

種類 自筆証書遺言 自筆証書遺言保管制度 公正証書遺言 秘密証書遺言
遺言可能条件 15歳以上、かつ意思能力がある
証人 不要 2人以上必要
保管場所 自身で保管 法務局 公証役場 自身で保管
検認場所 家庭裁判所 不要 不要 家庭裁判所

以上で解説は終了です。お疲れさまでした。

解説終了

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