FP2級【学科】2021年5月【問29】

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本記事の内容
『2021年5月実施』FP2級学科試験の過去問の解説です。
【共通】

Q.29

金融商品の取引に係る各種法規制に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、「金融商品の販売等に関する法律」を金融商品販売法という。

  1. 金、白金、大豆などのコモディティを対象とした市場デリバティブ取引は、金融商品取引法の適用対象とならない。
  2. 消費者契約法では、消費者契約の解除に伴って消費者が支払う損害賠償額を予定する条項を定めた場合、その額が、当該契約と同種の消費者契約の解除に伴って事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるときは、当該契約自体が無効とされる。
  3. 金融商品販売法では、金融商品販売業者等が顧客に金融商品を販売するための勧誘をしようとするときは、原則として、あらかじめ勧誘方針を策定し、公表しなければならないとされている。
  4. 金融商品販売法が規定する金融商品の販売において、金融商品販売法と消費者契約法の両方の規定を適用することができる場合は、金融商品販売法が優先して適用される。

3が適切

1の解説

  • 金、白金、大豆などのコモディティを対象とした市場デリバティブ取引は、金融商品取引法の適用対象とならない。

不適切です。

市場デリバティブ取引も金融商品取引法の対象です。

この法律において「金融商品取引業」とは、次に掲げる行為(その内容等を勘案し、投資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定めるもの及び銀行、優先出資法第二条第一項に規定する協同組織金融機関(以下「協同組織金融機関」という。)その他政令で定める金融機関が行う第十二号、第十四号、第十五号又は第二十八条第八項各号に掲げるものを除く。)のいずれかを業として行うことをいう。

金融商品取引法第2条8項

有価証券の売買(デリバティブ取引に該当するものを除く。以下同じ。)、市場デリバティブ取引(金融商品(第二十四項第三号の三に掲げるものに限る。)又は金融指標(当該金融商品の価格及びこれに基づいて算出した数値に限る。)に係る市場デリバティブ取引(以下「商品関連市場デリバティブ取引」という。)を除く。)又は外国市場デリバティブ取引(有価証券の売買にあつては、第十号に掲げるものを除く。)

金融商品取引法第2条8項1号
michi
michi

ちなみにコモディティとは一般的には『商品』『日用品』を意味する言葉ですが、金融市場では金などの先物取引の商品のことを意味します。


2の解説

  • 消費者契約法では、消費者契約の解除に伴って消費者が支払う損害賠償額を予定する条項を定めた場合、その額が、当該契約と同種の消費者契約の解除に伴って事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるときは、当該契約自体が無効とされる。

不適切です。

次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

消費者契約法第9条1項1号
michi
michi

要するに契約自体が無効になるわけではなく、損害の額が超える部分についてのみ無効になるという事です。よって平均的な額の損害賠償はしなければならないものの、ありえないような金額の損害賠償はしなくてよいということになります。


3の解説

  • 金融商品販売法では、金融商品販売業者等が顧客に金融商品を販売するための勧誘をしようとするときは、原則として、あらかじめ勧誘方針を策定し、公表しなければならないとされている。

適切です。

金融商品販売業者等は、業として行う金融商品の販売等に係る勧誘をしようとするときは、あらかじめ、当該勧誘に関する方針(以下この条及び第九十七条において「勧誘方針」という。)を定めなければならない。

金融サービスの提供に関する法律第10条

金融商品販売業者等は、第一項の規定により勧誘方針を定めたときは、政令で定める方法により、速やかに、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

金融サービスの提供に関する法律第10条3項

4の解説

  • 金融商品販売法が規定する金融商品の販売において、金融商品販売法と消費者契約法の両方の規定を適用することができる場合は、金融商品販売法が優先して適用される。

不適切です。

大まかな違いは下記です。

金融商品販売法 重要な説明がないことで損害が発生した場合 損害賠償請求できる
消費者契約法 間違った説明、消費者が誤認するような説明を受けた場合 契約を取り消すことができる

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