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- 本記事の内容
- 『2021年5月実施』FP2級学科試験の過去問の解説です。
【共通】
Q.58
遺産分割対策等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 被相続人の財産の維持や増加について特別の寄与をした相続人について認められる寄与分の額は、原則として共同相続人の協議によって定めるが、協議が調わないときは、寄与をした者の請求により家庭裁判所が寄与分を定める。
- 代償分割により特定の財産(遺産)を取得した相続人から他の相続人に交付された代償財産が不動産や株式であっても、その不動産や株式を交付した相続人には、譲渡所得として所得税が課されることはない。
- 被相続人が、推定相続人と話し合って生前に家庭裁判所に遺留分の放棄をする旨を申立てさせることは、遺産分割対策として効果的である。
- 公正証書遺言により相続分や遺産分割方法を指定しておくことは、遺産分割における相続人間のトラブルの発生を防止する対策として効果的である。
2が不適切
- 被相続人の財産の維持や増加について特別の寄与をした相続人について認められる寄与分の額は、原則として共同相続人の協議によって定めるが、協議が調わないときは、寄与をした者の請求により家庭裁判所が寄与分を定める。
適切です。
相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人の介護等を行った場合に、金銭を特別寄与料として請求できる制度です。
請求権者は相続人以外である親族(6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族)
※たとえば法定相続人が配偶者、子であった時の被相続人の兄弟姉妹など。
頑張って無償で介護などをして被相続人の財産の維持や増加に貢献したのに、相続人ではないからといって相続財産がもらえないのは不公平だということですね。なので相続財産の代わりに特別寄与料を請求できるといった制度です。
- 代償分割により特定の財産(遺産)を取得した相続人から他の相続人に交付された代償財産が不動産や株式であっても、その不動産や株式を交付した相続人には、譲渡所得として所得税が課されることはない。
不適切です。
代償財産である不動産の時価と、その不動産の取得価額との差額が譲渡所得として課税されます。
例えば父A、長男B、次男Cがいると仮定します。
父Aの相続財産1億円相当分を長男Bが次男Cに代償分割します(分かりやすく5,000万円ずつに分ける)
取得価額 | 時価 | |
長男Bが元々持っていた土地を次男Cへ渡す | 3,000万円 | 5,000万円 |
このとき長男Bは次男Cに対して本来5,000万円分の財産を分割しなければならないのに、取得価額からいうと3,000万円分で済んでいるという事になります(つまり2,000万円得をしている)
よって差額2,000万円が譲渡所得として課税対象になるという理屈です。
- 被相続人が、推定相続人と話し合って生前に家庭裁判所に遺留分の放棄をする旨を申立てさせることは、遺産分割対策として効果的である。
適切です。
生前 | 亡くなった後 | |
相続放棄 | × | ○(3ヶ月以内) |
遺留分の放棄 | ○ | ○(1年以内) |
相続放棄は被相続人の生前にはできませんが、遺留分の放棄は生前でも可能です。
また遺留分の生前放棄は家庭裁判所に申し立てが必要ですが、相続が発生した以後は本人が放棄の意思を見せるだけで放棄とみなされます。
- 公正証書遺言により相続分や遺産分割方法を指定しておくことは、遺産分割における相続人間のトラブルの発生を防止する対策として効果的である。
適切です。