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- 本記事の内容
- 『2021年5月実施』FP2級学科試験の過去問の解説です。
【共通】
Q.18
契約者(=保険料負担者)を法人とする損害保険契約の経理処理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- すべての役員・従業員を被保険者とする普通傷害保険に加入した場合、支払保険料の全額を損金の額に算入することができる。
- 積立火災保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、いずれもその2分の1相当額を益金の額に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金の額に算入することができる。
- 法人が所有する業務用自動車が交通事故で全損となり、受け取った自動車保険の車両保険の保険金で同一事業年度内に代替車両を取得した場合であっても、圧縮記帳は認められない。
- 業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金が保険会社から従業員の遺族へ直接支払われた場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金の額に算入することができる。
1が適切
- すべての役員・従業員を被保険者とする普通傷害保険に加入した場合、支払保険料の全額を損金の額に算入することができる。
適切です。
あくまで『全員』の加入が損金算入できる要件です。一部では福利厚生費と認められず損金にはできません。
- 積立火災保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、いずれもその2分の1相当額を益金の額に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金の額に算入することができる。
不適切です。
満期返戻金、契約者配当金を全額益金に算入し、積立保険料の累計額を損金に算入します。
また差額が発生している場合は雑収入か雑損失として計上します。
例えば
もしくは
このような形になると考えられます。
- 法人が所有する業務用自動車が交通事故で全損となり、受け取った自動車保険の車両保険の保険金で同一事業年度内に代替車両を取得した場合であっても、圧縮記帳は認められない。
不適切です。
保険金等で取得した代替資産の圧縮記帳は認められています。
ちなみに同一事業年度でなくとも、買い替えや改良の見込みがある場合は一定の要件を満たせば、2事業年度以内であれば圧縮記帳を認められています。
課税所得となる利益を繰り延べる制度のこと。
例えば国からの補助金をもらって機械等を購入した場合、補助金は益金の扱いなので課税されてしまいます。
さらにいうと機械などは減価償却される(初年度に全額計上されない)ので、初年度の課税所得が上がってしまい補助金の効果を感じづらくなってしまいます。
そこで圧縮記帳を使います。
圧縮記帳は初年度において『圧縮損』という形で補助金と同額の損金(例えば機械なら取得価額から差し引く)を計上し、初年度の税負担を軽くする仕組みです。
しかしながら圧縮記帳をした場合は2年目以降の減価償却費が下がってしまうため、各年度の税負担は重くなります。
また、トータルでの税金は変わりません。
要するに
- 圧縮記帳をする→初年度が多少ラク、2年目以降がキツイ
- 圧縮記帳しない→初年度がキツイ、2年目以降は多少ラク
このようなイメージと言えます。(あくまでイメージです)
- 業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金が保険会社から従業員の遺族へ直接支払われた場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金の額に算入することができる。
不適切です。
従業員の遺族へ直接支払われた場合は、法人に経理処理は特に必要ありません。
ちなみに法人が受け取った後に遺族に支払う場合は
- 法人が受け取った時点→全額益金算入
- 遺族にその後支払う→全額損金算入
このような経理処理になります。