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- 本記事の内容
- 『2021年5月実施』FP2級学科試験の過去問の解説です。
【共通】
Q.50
Aさんは、商業用店舗の建設等を通じた所有土地の有効活用について検討している。土地の有効活用の手法の一般的な特徴についてまとめた下表のうち、各項目に記載された内容が最も適切なものはどれか。
- 建設協力金方式
- 等価交換方式
- 定期借地権方式
- 事業受託方式
3が適切
- 建設協力金方式
- 土地の所有名義→Aさん
建物の所有名義→Aさん
Aさんの建設資金の負担の要否→不要(全部または一部)
建設協力金方式とは貸主(土地オーナー)が借主(テナント企業等)から協力金を借り、建物の建築費用にあてます。
よって建物の所有名義もAさんとなります。
借りたお金は月々のテナント料と相殺していくかたちが一般的です。
- 等価交換方式
- 土地の所有名義→Aさんとデベロッパー
建物の所有名義→Aさんとデベロッパー
Aさんの建設資金の負担の要否→不要
等価交換方式には全部譲渡方式、部分譲渡方式があります。
どちらにしても土地所有者に新たな資金負担はありません。
デベロッパーに土地を一旦すべて譲渡し、建物完成後に土地価格に見合う分の建物の区分所有権とその敷地利用権を得る方式です。
建築前 | 建築後 | |
土地 | 地主→デベロッパー | デベロッパー→一部地主 |
建物 | デベロッパー | デベロッパー→一部地主 |
土地所有権を先渡ししてしまうので、建物完成までは権利が無くなってしまいます。
また不動産を新たに取得する扱いになってしまうので、不動産取得税や登録免許税がかかってしまいます。
建物完成後、その土地の一部の所有権をデベロッパーに、その建物の一部の区分所有権を地主に譲渡します。
建築前 | 建築後 | |
土地 | 地主 | 地主→一部デベロッパー |
建物 | デベロッパー | デベロッパー→一部地主 |
通常は部分譲渡方式が採用されます。ただし土地と建物の価値のすり合わせ等で時間がかかるのがデメリットです。
- 定期借地権方式
- 土地の所有名義→Aさん
建物の所有名義→借地人
Aさんの建設資金の負担の要否→不要
定期借地権方式は土地を貸すだけなので、その上に建てる建物の名義は借地人になります。
よって建設資金の負担は一切ありません。
一般定期借地権 | 事業用定期借地権 | 建物譲渡特約付借地権 | |
建物の利用目的 | 制限なし | 事業用のみ | 制限なし |
契約の存続期間 | 50年以上 | 10年以上50年未満 | 30年以上 |
契約方法 | 書面 | 公正証書 | 制限なし |
借地関係の終了 | 期間の満了 | 期間の満了 | 建物の譲渡 |
満了時の返還形態 | 更地で返還 | 更地で返還 | 地主が借地人から建物を買取る |
FP3級で覚えた定期借地権がココで繋がってきます。
- 事業受託方式
- 土地の所有名義→Aさん
建物の所有名義→Aさん
Aさんの建設資金の負担の要否→必要
事業受託方式とは土地オーナーから委託を受けたデベロッパーが、建物の建設や管理運営などを一括で引き受ける仕組みです。
事業主体はオーナーなので土地、建物の権利者も当然オーナーになります。
デベロッパーはあくまでパートナーという立場です。
イメージとして言うと
- Aさん→オーナー
- デベロッパー→雇われ社長
のような感じですね。