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武田薬品工業の業績が良いと聞いてます。子供のころから知っている「タケダ漢方便秘薬」の会社ですよね。株を購入するにあたって、おすすめポイントやデメリットもあれば教えてください。
こんなお悩みを解決します。
注意
本記事の内容はあくまで個人的見解です。投資助言や勧誘を目的としていません。
リスクを考慮した上、ご自身の判断で投資を行ってください。いかなる損失についても責任を負いかねます。
また、記事内のデータはすべて執筆時のものです。最新の情報は各社のIRをチェックしてください。
- 本記事の内容
- 武田薬品工業とは
武田薬品工業株のおすすめポイント
武田薬品工業株のデメリット
武田薬品工業の株価の推移(チャート)
武田薬品工業株の配当金、配当利回り、配当性向
武田薬品工業株の配当金がもらえるのはいつ?
武田薬品工業の売上の推移
武田薬品工業の財務状況
武田薬品工業のキャッシュフロー
武田薬品工業株の評判
武田薬品工業株の購入方法
武田薬品工業IRニュース
武田薬品工業のよくある質問
武田薬品工業株以外のおすすめ高配当銘柄
今回は武田薬品工業株について解説いたします。
武田薬品工業といえば、国内製薬会社売上高ランキング1位、グローバルでも11位の大企業です(2022年度)。
一般大衆向け製品※「タケダ漢方便秘薬」や「アリナミンVドリンク」、「ベンザブロック」というブランドは、だれでも一度は聞いたことがあるはずです。
※現在は、アリナミン製薬株式会社が販売、事業は米投資ファンドのブラックストーン・グループに売却済
年間売上4兆円を超える世界でも有数の大企業、武田薬品工業のおすすめポイントは下記です。
- 2017年期以降、順調に伸長する売上と利益
- 4%を超える高い配当率
- 来期(2024年)は増配の計画を発表
売上・利益をキッチリだして、配当もしっかり株主に還元しています。
来期の増配(180→188円/株)は、2009年期に168円/株から180円/株に増配して以来、久々のニュースです。
今回は安定した高配当を出し続けている、武田薬品工業のおすすめポイントやデメリットを解説していきます。
ぜひ購入の参考にしてください。
- 株のツールっていろいろあるし、どれを見たらいいのか分からない…
- 複数のサイトをそれぞれ見るのが面倒…1つにまとめて見られたらいいのに…
- 無料の情報サイトは煩雑で見づらい…
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武田薬品工業とは
まずは武田薬品工業の概要を説明いたします。※執筆当時のデータです。
上場会社名 | 武田薬品工業株式会社 |
上場取引所 | 東京証券取引所プライム市場(旧東証一部) |
コード番号 | 4502 |
本社所在地 | グローバル本社 〒103 – 8668 東京都中央区日本橋本町二丁目1番1号 大阪本社 〒540-8645 大阪市中央区道修町四丁目1番1号 |
創業 | 1781年 ( 天明元年 ) 6月12日 |
設立 | 1925年 ( 大正14年 ) 1月29日 |
事業内容 | 医薬品等の研究開発・製造・販売・輸出入 |
代表者 | 代表取締役社長 CEO クリストフ・ウェバー |
資本金 | 1兆6762億円 (2022年3月末) |
年商 | 4,027,478百万円(2022年3月期) |
年初来高値 | 4,645円 (2023年6月19日) |
年初来安値 | 4,004 円(2023年1月10日) |
配当利回り | 4.04~4.69%(年初来高値~安値における配当金) |
配当金 | 180株円(2023年3月期) 188株円(2024年3月期予想) |
決算期 | 3月末日 |
IR情報 | https://www.takeda.com/jp/investors?epslanguage=ja |
公式HP | https://www.takeda.com/ja-jp https://www.takeda.com/jp |
武田薬品工業の事業は医薬品等の研究開発・製造・販売・輸出入です。
売上の87%以上が海外からもたらされているのが特徴ですね(2023年)。
特に総売上の52%以上を占めるのが米国マーケット。
その他は欧州、アジア、中南米などからの収益と各国に事業を手掛けています。
武田薬品工業のおすすめポイント
武田薬品工業株のおすすめポイントは下記です。
- 2017年以降、順調に伸長する売上と利益
- 4%を超える高い配当率
- 来期(2024年3月期)に久々の増配計画を発表
それぞれ分かりやすく説明していきますね。
2017年以降、順調に伸長する売上と利益
武田薬品工業の売上は、2017年以降連続して伸長しています。
その主な理由は、主要製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンタイビオ」の売上が好調であったことです(下記表)。
年 | 2018 3月期 | 2019 3月期 | 2020 3月期 | 2021 3月期 | 2022 3月期 | 2023 3月期 |
エンタイビオの売上 (百万円) | 2,014 (+40.6) | 2,692 (+33.7) | 3,472 (+29.0) | 4,293 (+23.6) | 5,218 (+21.5) | 7,027 (+34.7) |
この超大型ブランドは、今後もさらに売上が伸びていくことが予想されています。
4%を超える高い配当率
武田薬品工業は2021年以降、4%代の高配当率をキープしています。
配当金(1株あたり) | 配当利回り | 配当性向 | |
---|---|---|---|
2011年3月 | 180円 | 4.19~5.29 % | 57.3% |
2012年3月 | 180円 | 4.51~5.96 % | 114.4% |
2013年3月 | 180円 | 3.39~5.58 % | 95.6% |
2014年3月 | 180円 | 3.26~4.31 % | 133.2% |
2015年3月 | 180円 | 2.70~4.15 % | —% |
2016年3月 | 180円 | 2.72~3.59 % | 176.0% |
2017年3月 | 180円 | 3.26~4.39 % | 122.3% |
2018年3月 | 180円 | 2.69~3.53 % | 75.2% |
2019年3月 | 180円 | 3.32~5.15 % | 158.6% |
2020年3月 | 180円 | 3.89~6.22 % | 633.6% |
2021年2月 | 180円 | 4.12~5.77 % | 74.8% |
2022年3月 | 180円 | 4.37~6.01 % | 122.3% |
2023年3月 | 180円 | 4.02~5.15 % | 88.1% |
2024年3月 (予想) | 188円 | 4.04~4.69 % (執筆時) | — |
この水準は東京プライム上場1635社中254位です。
武田薬品工業は「毎年の年間配当金を増額または維持する累進的な配当方針」を掲げており、今後も安定的な株主還元が期待されます。
来期(2024年3月期)に久々の増配計画を発表
武田薬品工業の配当額は、2009年から2023年までずっと180円/株でした。
ところが、2024年3月期は188円/株への増配を計画。15年ぶりの増配です。
この増配に対し武田薬品工業は「資本配分に関する基本方針のアップデート:レバレッジ低下の進捗および将来の成長に対する自信に基づく増配」と説明しています(2022年度決算発表資料)。
分かりやすく言うと下記の2つが理由です。
- 配当を増やすことで自己資本の増加を抑制し、ROE (自己資本利益率:Return On Equity)を高めて企業価値を高めていく。
- 今後の収益アップも充分狙える環境にいる。
武田薬品工業は今後も増配が期待できるので、おすすめの高配当株といえますね。
武田薬品工業株のデメリット
武田薬品工業株のデメリットは下記です。
- 毎年改定される公定価格により収益低下圧力
- 特許権満了による独占的販売権の喪失
- 高い海外売上比率が原因の円高による収益圧迫
順にわかりやすく説明します。
毎年改定される公定価格により収益低下圧力
薬の価格が毎年改定されることによる、収益低下が懸念されます。
実は薬価は製薬会社が決めているのではなく、すべて国(厚生労働大臣)が決めています。
詳しく説明しますと、医師や薬剤師は原則として厚生労働大臣の定める医薬品以外の医薬品を使ってはならないとされており、その医薬品は薬価基準に収載されている医薬品です。
そして、薬価基準のリストに掲載されている薬の価格は毎年国によって改定されています(日本の薬価制度について)。
医療費が高くなることで、治療を受けられなくなってしまう患者さんを減らすために行う措置なので、薬価は年々低下し製薬企業にとっては利益の損失に繋がるのです。
薬価基準の改定は、ボク達国民のために行うことではあるんだけどね….
しかしながら、武田薬品工業には新薬開発力があります。
新薬は製薬会社が自由に価格を決められる「健康保険適用外」です。
新薬の売上増により収益減も十分に解消される可能性が高いです。
特許権満了による独占的販売権の喪失
薬の特許権満了による、独占的販売権が喪失してしまうことも懸念材料の1つです。
特許権とは特許の出願により認められた技術に対し、発明された特許技術を独占できたり第三者が特許技術の無断使用を排除したりできる権利のことです。
この権利は、保護される期限が20年(医薬品等については最長25年まで延長できる場合あり)と決められています(知的財産権とは下記引用参照※)。
たとえば武田薬品工業が開発し、知財権で保護されていた注意欠陥・多動性障害(ADHD)治療薬「ビバンセ」は、2023年夏に特許切れが確定しており、以降の計画に売上減が反映されています。
※知的財産権とは
人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物などには、 財産的な価値を持つものがあります。そうしたものを総称して「知的財産」と呼びます。 知的財産の中には特許権や実用新案権など、 法律で規定された権利や法律上保護される利益に係る権利として保護されるものがあります。それらの権利は「知的財産権」と呼ばれます。
日本弁理士会ウェブページ
ただし武田薬品工業は、予想される収益悪化要因に対して米国のスタートアップ企業※から開発薬の買収などの積極的投資で対策を講じる計画です。
※米国のスタートアップ企業:米バイオ企業ニンバス・セラピューティクスの子会社、ニンバス社の子会社ニンバス・ラクシュミ(米マサチューセッツ州)
特許が切れ収益が減少するのをただ手をこまねいて見ているのではなく、いろいろと対策をしているので心配する必要はありません。
高い海外売上比率が原因の円高による収益圧迫
武田薬品工業のリージョンごとの売上構成は日本が12.7%、残りは国外です。
特に米国の構成比率は52%以上となっています。
地域 | 日本 | 米国 | 欧州、カナダ | アジア | 中南米 | ロシア/CIS | その他※ |
売上(百万円) | 5,120 | 21,038 | 8,427 | 2,250 | 1,604 | 884 | 952 |
構成比(%) | 12.7 | 52.2 | 20.9 | 5.6 | 4.0 | 2.2 | 2.4 |
まるで米国企業のような売上構成比は、円高に弱いことを示しています。
実際、2023年3月期(通期)の好業績は円安に支えられている部分も否定できません。
しかしながら海外の案件に投資する時は、相対的に価値が高い外貨の方が安く投資できるメリットもあります。
現在の日本の成長力を考えても、売上の比重が世界にあるのはあながち間違っていないとも言えますね。
武田薬品工業の株価の推移(チャート)
武田薬品工業の株価の推移は下記です。
直近では綺麗な上昇トレンドを描いています。
執筆当時のPERが49.1倍とかなり割高ですが、安定した高配当銘柄でもあります。
リスクを減らすために少しずつ買い増すと良いと思われます。
武田薬品工業株の配当金、配当利回り、配当性向
武田薬品工業株の配当金、配当利回り、配当性向は下記です。
- 30年以上減配がない安定配当
- 2024年3月期に15年ぶりの増配を実施予定
- 配当性向が高すぎる
配当金(1株あたり) | 配当利回り | 配当性向 | |
---|---|---|---|
2011年3月 | 180円 | 4.19~5.29 % | 57.3% |
2012年3月 | 180円 | 4.51~5.96 % | 114.4% |
2013年3月 | 180円 | 3.39~5.58 % | 95.6% |
2014年3月 | 180円 | 3.26~4.31 % | 133.2% |
2015年3月 | 180円 | 2.70~4.15 % | —% |
2016年3月 | 180円 | 2.72~3.59 % | 176.0% |
2017年3月 | 180円 | 3.26~4.39 % | 122.3% |
2018年3月 | 180円 | 2.69~3.53 % | 75.2% |
2019年3月 | 180円 | 3.32~5.15 % | 158.6% |
2020年3月 | 180円 | 3.89~6.22 % | 633.6% |
2021年2月 | 180円 | 4.12~5.77 % | 74.8% |
2022年3月 | 180円 | 4.37~6.01 % | 122.3% |
2023年3月 | 180円 | 4.02~5.15 % | 88.1% |
2024年3月 (予想) | 188円 | — | — |
※配当利回りは、その年の最低株価と最高株価をその年の配当金で割って算出しています。
武田薬品工業の配当額は、30年以上減配がありません。
2009年から2023年に15年連続180円/株が続きましたが、2024年は久々の増配を発表しました(武田薬品工業ニュースリリース)。
配当性向が高すぎるのが気になりますが、直近の2023年は100%を割っています。
税引き後純利益の中から、どれだけ配当金を出したかを見る指標。
- 利益を企業が成長するための投資に回している。
- 単純に貯めこんでいる。
- 株主還元をしっかり行っている。
- 利益が低いのにムリをしている場合も。※100%を超えると利益以上の配当金を出していることになるので、借り入れ等しなければならない場合もある。
計算式
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの税引き後当期純利益×100
しかしながら損益計算書とキャッシュフローを見ると、減価償却費が多い分帳簿上の利益は減りますが、キャッシュ自体はプラスになるので100%近くの配当性向でも現金に余裕はありますね。
過去のトレンドから武田薬品工業は配当額の変更に保守的な傾向が見て取れますので、今後も安定配当は継続するでしょう。
武田薬品工業株の配当金がもらえるのはいつ?
武田薬品工業の配当時期は下記です。
配当日(権利確定日) | 権利付き最終日 ※この日までに買うと配当金が受け取れる | 権利落ち日 ※この日に購入しても直近の配当には間に合わない |
2024年3月29日(金) 次回期末配当 | 2024年3月27日(水) | 2024年3月28日(木) |
2024年9月30日(月) 次回中間配当 | 2024年9月26日(木) | 2024年9月27日(金) |
※入金は、配当日(権利確定日)以降、2~3か月後になります。
武田薬品工業の売上、利益の推移
武田薬品工業の売上、利益の推移は下記です。
- 2023年3月期(通期)の売上が初めて4兆円を突破した
- 2020年3月期(連結)の営業利益と事業利益が激減していた
- 2024年3月期(連結)の収益予想が前期実績より低下している
売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 経常利益 (百万円) | 当期純利益 (百万円) | 包括利益 (百万円) | |
---|---|---|---|---|---|
2015年3月期連結 | 1,777,824 | △129,254 | △145,437 | △145,775 | △180,860 |
2016年3月期連結 | 1,807,378 | 130,828 | 120,539 | 80,166 | △39,602 |
2017年3月期連結 | 1,732,051 | 155,867 | 143,346 | 114,940 | 93,142 |
2018年3月期連結 | 1,770,531 | 241,789 | 217,205 | 186,886 | 242,664 |
2019年3月期連結 | 2,097,224 | 237,685 | 127,612 | 135,192 | 121,595 |
2020年3月期連結 | 3,291,188 | 100,408 | △60,754 | 44,241 | △199,419 |
2021年3月期連結 | 3,197,812 | 509,269 | 366,235 | 376,005 | 697,416 |
2022年3月期連結 | 3,569,006 | 460,844 | 302,571 | 230,059 | 824,427 |
2023年3月期連結 | 4,027,478 | 490,505 | 375,090 | 317,017 | 911,574 |
2024年3月期連結 ※通期予想 | 3,840,000 | 349,000 | 185,000 | 142,000 | — |
武田薬品工業は2023年3月期(通期)に売上高4兆円を突破しました。
牽引役は潰瘍性大腸炎治療薬のエンタイビオ(7,027億円)とADHD治療薬のビバンセ(4,593億円)です。
いずれも前年比売上15%以上増と好調でした。
一方、過去のことではありますが、製薬業界で話題になったアイルランドの製薬会社Shireの買収(2019年)に伴う費用がかさんだ影響で、2020年3月期(通期)の事業利益(営業利益、経常利益、当期純利益)が激減しています。
この買収額は日本市場最大の6.2兆円にもおよび、当時の武田薬品の年間売り上げのおよそ2倍弱でした。
ただし、あくまで将来性への投資であり、事業から出てきた赤字ではないので今後の買収効果が期待されます。
さらに2024年3月期(通期)の収益予想は、2023年より低下しています(売上-4.7%、営業利益-28.8%)。
この理由は、3つと推測されます。
- ADHD治療薬のビバンセの特許切れ(インパクト額は約4,593億円)
- 高血圧症薬アジルバの特許切れ(インパクト額は約730億円)
- 新型コロナウイルス収束により感染症ワクチン、ヌバキソビッド®筋注の日本政府購入予定の取り消し
以上の悪材料も積極な企業買収などをおこなってリカバリーする計画です。
ちなみに2024年3月期第1四半期の決算では売上、利益ともに伸びており、順調に推移すると前年の水準に並ぶ可能性もあります。
特に営業利益は前年比12%増を達成しているので、今後も期待できますね。
武田薬品工業の財務状況
武田薬品工業の財務状況です。
- 豊富な利益余剰金
- 多額の有利子負債
利益剰余金(百万円) | 現金および預金(百万円) | 自己資本比率 | 有利子負債(百万円) | 有利子負債比率 | |
---|---|---|---|---|---|
2015年3月期連結 | 1,601,326 | 655,243 | 48.3% | 729,381 | – |
2016年3月期連結 | 1,523,127 | 451,426 | 52.6% | 768,224 | – |
2017年3月期連結 | 1,511,817 | 319,455 | 44.7% | 1,144,890 | – |
2018年3月期連結 | 1,557,307 | 294,522 | 49.1% | 985,662 | 49.4% |
2019年3月期連結 | 1,596,365 | 702,093 | 37.4% | 5,750,951 | 111.0% |
2020年3月期連結 | 1,369,972 | 637,614 | 36.9% | 5,093,304 | 107.8% |
2021年3月期連結 | 1,509,906 | 966,222 | 40.1% | 4,635,371 | 89.6% |
2022年3月期連結 | 1,479,716 | 849,695 | 43.1% | 4,345,411 | 76.5% |
2023年3月期連結 | 1,541,146 | 533,530 | 45.5% | 4,382,341 | 69.0% |
武田薬品工業の利益余剰金はおよそ1.5兆円です。
年間に稼ぐ営業利益の3倍弱の利益を内部保留しているため、経営基盤は盤石です。
自己資本比率も40%代の水準を維持しているので、大きな問題は見当たりません。
逆に一つ気になるのは多額の有利子負債(2023年3月期約4兆3800億円)ですが、2019年に合意したアイルランドの製薬会社Shire買収※による借金です。
事業から出た赤字ではないので、今後の収益が期待されます。
武田薬品工業が買収したアイルランドの製薬会社Shireの買収額は6.2兆円です。
これほどまでに大きな買収に踏み切った理由は下記です。
- グローバルに生き残るためには規模が大きくなければいけない
- Shireは希少薬の分野に強みがある
- 巨大市場である米国と欧州の市場をカバーできる
グローバルに生き残るためには規模が大きくなければいけない
2018年当時、武田薬品の売上高は1.8兆円で世界的には18位あたりに位置付けられていました。しかしながらShireを含め数々の企業買収を繰り返し2022年度の世界ランキングは11位です(ちなみに世界ナンバーワンは米ファイザー、年間売上約800億ドル)。世界では上位企業しか生き残ることはできないと言われるなか、着々と足場を固めています。
Shireは希少薬の分野に強みがある
記事でも述べましたが、新薬も特許の保護期間が過ぎるとジェネリック薬に市場が奪われ収益が激減します。ところが、Shireは希少薬(例:ドライアイ用点眼薬Xiidra、手術用パッチ剤TachoSil)の分野で強みがあり、この分野はジェネリック薬がでにくいと言われています。なぜなら希少薬は患者が少ない難病に特化した治療薬で、一つ一つの市場規模が小さくジェネリック薬を出してもうまみが少ないからです。
巨大市場である米国と欧州の市場をカバーできる
製薬市場の特徴の一つとして、マーケットの中心が米国と欧州にあることです。かつての武田薬品工業の売上は日本国内がメインで海外での展開にウィークポイントがありました。そこでフランス人CEOであるクリストフ・ウェバーが欧州の企業Shireが米国への販売に強みを持っていることに着目したのです。さらにShireのもつ血液製剤分野、血漿(けっしょう)分画製剤事業は、かつての武田薬品工業にはない分野で、この分野を手に入れることで製薬会社としての幅を持たせることもできています。
表でも分かるように有利子負債は確実に減っていますので、買収による借金は一時的なものだと言えるでしょう。
武田薬品工業のキャッシュフロー
武田薬品工業のキャッシュフローは下記です。
- 安定的に生み出されている営業キャッシュフロー
- 特になし
営業キャッシュフロー(百万円) | 投資キャッシュフロー(百万円) | 財務キャッシュフロー(百万円) | 現金及び現金等同等物に係る換算差額(百万円) | 現金等(百万円) | |
---|---|---|---|---|---|
2015年3月期連結 | 182,517 | 91,347 | △300,998 | 16,329 | 655,243 |
2016年3月期連結 | 25,491 | △71,208 | △124,839 | △33,260 | 451,426 |
2017年3月期連結 | 261,363 | △655,691 | 289,896 | △5,743 | 319,455 |
2018年3月期連結 | 377,854 | △93,342 | △326,226 | △4,565 | 294,522 |
2019年3月期連結 | 328,479 | △2,835,698 | 2,946,237 | △31,269 | 702,093 |
2020年3月期連結 | 669,752 | 292,119 | △1,005,213 | △21,766 | 637,614 |
2021年3月期連結 | 1,010,931 | 393,530 | △1,088,354 | 12,501 | 966,222 |
2022年3月期連結 | 1,123,105 | △198,125 | △1,070,265 | 28,758 | 849,695 |
2023年3月期連結 | 977,156 | △607,102 | △709,148 | 22,929 | 533,530 |
2024年3月期連結 ※通期予想 | 非公開 | 非公開 | 非公開 | 非公開 | 非公開 |
武田薬品工業は、毎年営業キャッシュフローを安定的に生み出しています。
2022年と比べ2023年は1,459億円減少していますが、仕入れ額と計上利益が増加したことによる法人税の増加が影響したと説明されています(2023年3月期 決算短信)。
つまり活発な販売と利益アップが要因なので、全く心配に及びません。
適切な投資をしつつ借金も返済しているので、キャッシュフローとしては全く問題ないと思われます。
武田薬品工業株の評判
SNS上での武田薬品工業株の評判です。
テスタさんの配当用銘柄と、ディフェンシブ銘柄の、安心ポートフォリオの例✨
— KAZZN@含み損の匠/高配当株トレード🏋️ (@Kazzn_blog) June 16, 2023
年配当10.35万円・投資金額250万円ほど
🟢JT(2914) 100株 1.88万円
🟢兼松(8020) 100株 0.9万円
🟢バルカー(7995) 100株 1.5万円
🟢稲畑産業(8098) 100株 1.2万円
🟢武田薬品工業(4502) 100株 1.88万円
続く
4502 武田薬品工業
— 奥むめお (@fotes57s) June 13, 2023
明日S高買い気配、高水準の自社株買い並びに大幅増配を発表https://t.co/sHQZVyQCrF
4502 武田薬品工業
— 片岡 富枝 (@tom36706) June 15, 2023
自社株買いの実施を発表、明日ストップ高予想。https://t.co/BVCSOvVhIc
武田薬品工業は安定した高配当銘柄でSNS上でも特に人気があります。
武田薬品工業株の購入方法
武田薬品工業株を購入するなら、下記3社がおすすめです。
SBI証券は2023年9月30日より、単元未満株を含む国内株式売買手数料が完全無料になりました。
ネット証券口座で1,000万口座を突破している、最も人気のある証券会社です。
取引銘柄数も東証ほぼ全てに対応しており、単元未満株ではおすすめNo.1口座と言えます。
マネックス証券は国内で有数のネット証券会社です。
個人的な所感ではアプリなどのツールはマネックス証券が使いやすいので、おすすめの証券会社ですよ。
現在は買い手数料は無料で、売り手数料のみかかります。
2024年から始まった新NISA口座で取引する場合は買い、売り共に手数料無料になります。
単元未満株の取引銘柄もほぼすべての上場企業なので、銘柄をきちんと選んで取引ができます。
単元未満株 買い手数料 | 無料 |
単元未満株 売り手数料 | 約定代金の0.55% ※最低手数料52円 新NISAでの取引は無料 |
NISA口座 | 約定代金の0.55% ※最低手数料52円 新NISAでの取引は無料 |
取扱銘柄 | 東証、名証ほぼ全て |
注文時間 | 24時間対応 |
auカブコム証券はMUFG(三菱UFJフィナンシャルグループ)を親会社に持つネット証券会社です。
単元未満株の手数料は無料ではないため割高に感じますが、自動売買ツールが豊富のため色々な取引方法を試したい方に向いている証券会社です。
また、マネックス証券と同じく2024年からの新NISA口座で取引する場合は買い、売り共に手数料無料になります。
単元未満株でおすすめの証券会社をすべて見たい方は下記をご覧ください。
武田薬品工業のIRニュース
独自判断ですが、株価に関係がありそうな武田薬品工業の直近のIRニュースをまとめました。
※現在のところ直近のニュースはありません。
武田薬品工業株のよくある質問
武田薬品工業株についてのよくある質問をまとめました。
- 武田薬品工業が受けるロシアウクライナ危機の影響について教えてください。
- 2024年3月期(通期)の売上予想は、2023年よりマイナス1,875億円と発表されています。この根拠をもう少し詳細に教えて下さい。
- 武田薬品工業の売上の52%以上が米国ということで、ドル安円高に対する収益への影響が気になります。
- 武田薬品工業が受けるロシアウクライナ危機の影響について教えてください。
- 武田薬品工業のロシア/CISにおける連結売上収益4兆275億円のうち2.2%です。現在、患者さんへの医薬品の安定供給を維持するために必要不可欠な活動を除き、ロシアにおける活動を中止しています。今のところ業績に対する重大な影響はありませんが、今後の事態の進展によっては業績や財務状況に悪影響が生じるかもしれません。
- 2024年3月期(通期)の売上額予想は、2023年よりマイナス1,875億円と発表されています。この根拠をもう少し詳細に教えて下さい。
- 「独占販売期間満了※」、「国による新型コロナウイルスワクチン薬の契約打ち切り」、「為替」の影響により2024年3月期(通期)の見込みはマイナス1,875億円と予想しています。なかでも「独占販売期間満了」が約3,300億円と巨額です。
※米国の注意欠陥/多動性障害治療剤「VYVANSE」と日本の高血圧症治療剤「アジルバ」を含む製品
- 武田薬品工業の売上の52%以上が米国ということで、ドル安円高に対する収益への影響が気になります。
- 2024年3月期(通期)の円ドル為替は131円/米ドルと想定しています。もしここから1円、円高ドル安になると売上は150億円、営業利益は13億円の減少要因となります。
武田薬品工業株以外のおすすめ高配当銘柄
S(5点) | A(4点) | B(3点) | C(2点) | D(1点) | |
高配当 | 年初来高値から算出した配当利回り5%以上 | 年初来高値から算出した配当利回り4%以上 | 年初来高値から算出した配当利回り3%以上 | 年初来高値から算出した配当利回り2%以上 | 年初来高値から算出した配当利回り2%未満 |
企業規模 | 最大手に対して売上50%まで | 最大手に対して売上20%まで | 最大手に対して売上10%まで | 最大手に対して売上5%まで | 最大手に対して売上5%未満 |
キャッシュリッチ | 有利子負債ゼロ | 現金が有利子負債に対して100%以上 | 現金が有利子負債に対して50%以上 | 現金が有利子負債に対して25%以上 | 現金が有利子負債に対して25%未満 |
配当性向 | 30%以上40%以下 | 20%以上30%未満 40%以上60%未満 | 10%以上20%未満 60%以上80%未満 | 5%以上10%未満 80%以上100%未満 | 5%未満 100%以上 |
グローバル | 売上比の70%以上が海外 | 売上比の50%以上が海外 | 売上比の40%以上が海外 | 売上比の10%以上が海外 | 売上比の10%未満が海外 |
総合評価 | 全ての数値の合計が25以上 | 全ての数値の合計が20以上25未満 | 全ての数値の合計が15以上20未満 | 全ての数値の合計が10以上15未満 | 全ての数値の合計が10未満 |
総合評価について
S5点、A4点、B3点、C2点、D1点にて加点
※高配当は他の項目より優先されるので2倍評価
※表は右にスクロールできます。
銘柄名 (銘柄をタップすると 詳細にアクセスできます) | 総合評価 (S~D) | 配当利回り ※注 | 配当金 (1株あたり) | 配当金の権利付き最終日 (この日までに買うと 配当金が受け取れる) | 株主 優待 |
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明豊ファシリティワークス (1717) | 3.85% ~4.63% | 32円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × | |
安藤・間 (1719) | 5.17% ~7.32% | 60円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × | |
鹿島建設 (1812) | B | 2.89% ~4.82% | 70円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × |
奥村組 (1833) | B | 4.74% ~7.67% | 225円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × |
イチケン (1847) | 5.30% ~5.76% | 100円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × | |
日東富士製粉 (2003) | B | 3.56% ~4.17% | 176円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × |
日本食品化工 (2892) | 4.50% ~7.68% | 125円→200円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × | |
JT【日本たばこ産業】 (2914) | 4.87% ~7.41% | 188円 | 期末:2023年12月27日 中間:2024年6月26日 | × | |
武田薬品工業 (4502) | 4.04% ~4.69% | 188円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × | |
ENEOSホールディングス (5020) | B | 3.78% ~5.11% | 22円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × |
TOYO TIRE (5105) | 4.16% ~6.17% | 55円 | 期末:2023年12月27日 中間:2024年6月26日 | × | |
日本カーボン (5302) | B | 4.30% ~5.13% | 200円 | 期末:2023年12月27日 中間:2024年6月26日 | × |
中山製鋼所 (5408) | B | 3.15% ~5.03% | 38円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × |
モリ工業 (5464) | B | 3.10% ~4.82% | 130円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × |
ARE ホールディングス (5857) | 4.46% ~4.96% | 90円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × | |
日本エアーテック (6291) | 4.73% ~6.34% | 60円 | 期末:2023年12月27日 中間:2024年6月26日 | × | |
日本ピラー工業 (6490) | B | 2.47% ~4.48% | 120円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | ○ |
MS-Japan (6539) | B | 4.63% ~5.89% | 56円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × |
帝国通信工業 (6763) | B | 3.84% ~5.20% | 70円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × |
TOA (6809) | 4.69% ~6.19% | 40円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × | |
日本セラミック (6929) | B | 3.53% ~4.48% | 100円 | 期末:2023年12月27日 | × |
いすゞ自動車 (7202) | 3.87% ~5.59% | 72円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × | |
オーハシテクニカ (7628) | B | 3.64% ~4.35% | 60円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | ○ |
バルカー (7995) | B | 3.55% ~5.80% | 150円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × |
スクロール (8005) | 4.40% ~6.93% | 48円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | 〇 | |
住友商事 (8053) | 4.62% ~6.52% | 115円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × | |
稲畑産業 (8098) | 4.06% ~5.76% | 120円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | ○ | |
伊藤忠エネクス (8133) | 4.29% ~5.02% | 52円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × | |
三井住友フィナンシャルG (8316) | 3.83% ~6.29% | 250円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × | |
東京海上HD (8766) | 3.33% ~4.61% | 121円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × | |
岩井コスモHD (8707) | B | 4.17% ~6.25% | 80円 (2023年3月期) | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × |
九州旅客鉄道 (9142) | C | 3.32% ~4.13% | 93円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | ○ |
日本電信電話 (9432) | B | 2.79% ~3.37% | 5円 ※株式を25分割済 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | ○ |
KDDI (9433) | B | 2.91% ~3.53% | 140円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | ○ |
三協フロンテア (9639) | B | 3.00% ~5.00% | 160円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | ○ |
イエローハット (9882) | 3.37% ~3.91% | 66円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | ○ | |
蔵王産業 (9986) | B | 3.70% ~5.81% | 100円 | 期末:2024年3月27日 中間:2024年9月26日 | × |
※配当利回りは、その年の最低株価と最高株価をその年の配当金で割って算出しています。
まとめ:武田薬品工業は売上4兆円を超えるグローバルな企業です
本記事をまとめます。
今回は武田薬品工業株について分かりやすく解説いたしました。
- 2017年期以降、順調に伸長する売上と利益
- 4%を超える高い配当率
- 来期(2024年3月期通期)は増配の計画を発表
世界的な高齢化に伴い、医薬品の重要性はますます高まっています。
2023年の武田薬品の業績は、主要製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンタイビオ」の売上伸長を追い風に好調でした。
好業績を受け、武田薬品工業株の配当額は15年ぶりに増配する予定です。
世界的にもトップレベルの規模と開発力を誇る武田薬品工業の株は、長期保有に適した安定株と言えるでしょう。
今回は以上です。
注意
本記事の内容はあくまで個人的見解です。投資助言や勧誘を目的としていません。
リスクを考慮した上、ご自身の判断で投資を行ってください。いかなる損失についても責任を負いかねます。
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